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インドと中国、チベット医学「ソワ・リッパ」を巡る争い【ユネスコが舞台】

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インドと中国は長年対立しているが、最近はチベット医学(ソワ・リッパ)を巡り争いが勃発しているようだ。本記事では、チベット医学を巡る両国の争いを紹介する。

※翻訳元:The New York Timesの「China and India File Rival Claims Over Tibetan Medicine

インドと中国のチベットを巡る戦い

インドと中国はヒマラヤ山脈を越えて、何百年も争っている。

中国共産党軍は、1950年にチベットに侵攻した。インドは、チベットの精神的なリーダーであるダライ・ラマに1959年に亡命を認めた。3年後、両国は中印国境紛争を戦った。

そして現在、両国は中国とブータンが争っている地域をめぐり対立している。

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インドと中国のチベット医学を巡る戦い

両国の争いは最近、チベット医学の伝統治療を正式に国家の歴史遺産にしようとして起こっている。

3月に中国は、ソワ・リッパの一つである医薬的な入浴を、無形文化遺産の一部として認めるよう求める書類を連合国教育科学文化機関(ユネスコ)に提出した。

「中国が申請しているなら、もちろんインドも申請できる」と、インドのサールナートにあるチベット研究中央大学の副総長であるGeshe Ngawang Samtenは述べた。また、同氏は「インドの文化でもある」と言った。

 

亡命生活を送るチベット人とチベット医学を研究する欧米の人類学者は、ユネスコの承認がどのような具体的な影響をその分野に及ぼすかを予測するのは困難だと語った。

田舎のチベット人が医療を利用する方法が増え、高度な助言をしたり、医薬品の生産を規制する法律を作ったりするチベット人医師の求人が増加するなら、その承認は有益になるだろうと、述べた。

だが、ユネスコの承認はマイナスに働くかもしれない。なぜなら、根本的な問題を解決しないで、産業の商業的な発展を引き起こすかもしれないからだ。

例えば、伝統的な薬の調合法が台無しになったり、薬の材料の過剰採集が起こったりするかもしれない。

 

チベット亡命政府の拠点であるインドのダルムサーラのチベット医学暦法研究所の校長であるTashi Tsering Phuriは、「それが2つの大国間の論争の的になってはいけない」と述べた。

 

1990年代の前半までは、チベット医学を文化遺産だと主張するインドと中国の争いは認識できなかったが、20年ほど前から、チベット医学の潜在的な価値を人々が認識し始めたと、西洋の学者は言う。

Stephan Kloos – Ratimed

ウィーンにあるオーストリア科学アカデミーの医療人類学者であるStephan Kloosは、彼の試算ではチベット医学の産業的な価値は10億ドルに達する可能性があると、述べた。

また、インドの非チベット人でさえ、ソワ・リッパをビジネスチャンスだととらえ始めていると、述べた。

 

しかし、その産業は大規模な経済規模に対応していないと、専門家は心配する。理由は、伝統的にソワ・リッパは山岳地帯での野生の動植物の採集に依存してきたからだ。

Sienna Radha Craig – Dartmouth

ダートマス大学の人類学准教授であり、チベット医学の専門家でもあるSienna Radha Craigは、ユネスコの承認は、適切な環境保全をしないで、産業の成長を促す可能性があると述べた。

また、インド、中国、ネパールでは、産業を拡大する努力が「かなり栽培と保護」を上回っていると述べた。さらに、「特定の範囲に関して、完全に支持できなくなる」と言った。

 

2010年、インドはソワ・リッパを公式にインドの医療システムとして認めた。インド政府は政府のウェブサイト上で、「この医学的伝統の起源に関して様々な流派がある」が、その理論や実践の多くは、アーユルベーダ(インドの伝統医学)に似ていると、記してある。

西洋の学者は、アーユルベーダとチベットの医学的伝統の間には明確な歴史的関係があると言う。

 

しかし、インドの最近のユネスコ承認への申請は、中国の専門家からの即座の解答を促した。

4月に、国営新聞のグローバルタイムズは、中国社会科学院の人類学者であるQin Yongzhangが「チベット医学について、起源だけでなく、発展したのも中国だというのが真実だ」と述べたと伝えた。

中国の最近のユネスコへの申請によれば、チベットのハーブ風呂と温泉の治療がチベット人により発展して、チベット自治区を含む西中国とかなり交わって人気となったと、なっていた。

Robert Thurman – wikipedia(cc by-sa 4.0)

コロンビア大学でインドチベット仏教学の教授であるRobert Thurmanは、中国は「強制的に」チベット高原(多くの鉱泉がある地域)の大部分を所有しているため、ユネスコへの申請は意味をなさないと述べた。

Thurman氏は、「しかし、中国がその伝統の起源であると、ともかくも主張することは、正直言ってバカげている」と電子メールで述べた。

中国ユネスコ委員会のオフィスで電話に答えた女性は、政府がそのユネスコの書類制作に取り組んでいて、関係するすべての情報は秘密であると、語った。

ユネスコは、処理中のファイルについてのコメントはできないと語った。

 

インタビューでは、二人の有名なチベット人はそのユネスコの過程に様々な要素が混ざった見方をし、チベット人は彼らの文化遺産を保護する簡単な選択肢はないといった。

Tsering Woeser

中国の企てについて、北京に住むチベット人作家であるTsering Woeserは、「私たちの同意なしにまたしてもチベット人を代表するのを目にするのは残念」だと言った。

しかし、彼女は、「もし資金と機会を利用しないなら、伝統的なチベット文化と共にチベット医学も徐々に消えていくだろう」と言った。

ニューヨークのナイアック村に住むチベット人医師のTashi Rabten博士は、ユネスコの指定が明確にその伝統がチベット人に属すると認める場合のみだが……、どの国がその申請を出すかに関わらず、全体的に考えると効果はプラスになるかもしれない、と言った。

 

ウィーンの医療人類学者であるKloos氏は、ソワ・リッパが実践された国は、目的が国際的にそれが認知されることならば、一致協力すべきだと言った。

 「その目的は本当は医学的な考察だけであるべきだが」と言い、「しかし、政治が入ってくる」と言った。

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